Tuesday, March 17, 2009

book - 『闘う経済学』 竹中平蔵

今日素晴らしい和書を2冊読み終わったので感想をアップしておきたい。まず、『闘う経済学』(竹中平蔵著)。公共政策に興味があったのでアマゾンで探していたが、あまりいい本がなく、サブタイトルが『未来を作る「公共政策論」入門』であったこの本を買うことになった。素晴らしかった。

まず経済の側面からマクロ経済、財政政策、不良債権問題などが語られた後、地方財政問題や郵政民営化、そして政策決定プロセスなどが政治・政策面から語られた。小泉政権で主導的な役割を担った竹中氏だからこそ語れる内容であり、氏の含蓄にとんだ分析が非常に軽やかに心に響く。(竹中平蔵氏は小泉元首相の軍師的な役割を担った人だ。かなりすごい人だ。)

最終章にて「改革の戦術とリーダーの条件」が語られたが、非常によくまとまっていたのでここで書き出してみたい。

●戦略は細部に宿る
政策を実現するためには何が必要か。2つの要素、リーダーのパッションと実現のための戦略が必要とする。これは企業経営でも政治の世界でも同様で、まずリーダーのパッション、リーダーシップが必要になる。そして同時に、政策を細部にきっちり落とし込むという地道で緻密な戦略と努力が必要になる。

●改革を実現するための5つのヒント
第一の戦術:「逆転の発想」を持つこと。
第二の戦術:重要なことについてはトップ直轄方式を取ること。
第三の戦術:会議を「決める場」にすること。
第四の戦術:いつでも辞める覚悟を持つこと。
第五の戦術:批判のパターン(*)を知ること。

(*)批判の三つのパターン:①「コントラリアン的批判」、②「永遠の真理」をいう批判、③「ラベル」を貼って決めつける批判

●経済と政策を見る目を養い、政策判断するために必要なこと
・経済学の基本的な考え方を知り、自分の頭の中にきちんとした基本モデルを持つ。
・諸外国の実例を活用すること。
・政府から直接情報を取得すること。(新聞やテレビなどではなく)

●「夢見ながら耕す人になれ」
竹中氏がある電気機械メーカーの工場に行ったときに見つけた素晴らしい標語。良い政策を行うことは重要だが、そのためには政策の主導権を握らなくてならない。現実問題としては、権力闘争に勝たなければならない。そして、権力闘争に勝つには、それなりのしたたかな行動をとらねばならない。

●リーダーの条件 - 小泉元総理の仕事ぶりから学んだこと
第一の条件:「王道を行く」こと。
第二の条件:「瞬時の判断力」。(イメージトレーニングの重要性)
第三の条件:「直接対話の力」。
第四の条件:「愛嬌の力」。


上記のほかにも、衆議院、参議院の違いと働く力学、経済財政諮問会議、内閣と国会、議院内閣制と政府与党一体、閣議と総務会・部会、そして本会議と委員会など種々の事柄について理解を深めることができた。もちろん経済学の復習にもなった。感動した。

感動した。

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