日本の政治に対する不満をここでまとめておこう。これらがわたしの骨太の政治改革の原案となる。まず、ビジョンと希望。
■ビジョン、そして希望
アメリカ大統領選の行方をつぶさに見た。オバマが素晴らしい演説を繰り広げるのを、アメリカの政治システムがダイナミックに動くのを、そして党派を超えた理性的な会話がなされるのをわたしは見た。アメリカは二党政治が非常にうまくバランスをとれて成立している稀有な例だ(二党政治そのものについてはわたしは賛成しない)。
大きな政府、リベラルを志向する民主党。小さな政府、保守主義を志向する共和党。都市部は民主党であり、地方は共和党を応援する。若者は民主党であり、高年齢層は共和党である。このイデオロギーの違いがいいのだ。もちろんそれ自体はよくはないが、それは議論の骨格となり、その結果としての発展がある。
ブッシュを2期連続で選んだアメリカ国民は自らに対して大いに反省をしたことであろう。そしてその結果としてのバラック・オバマの誕生があった。古くは南北戦争、人種隔離政策があった。その対立を、その悪政を、彼らは彼ら自身の力で乗り越えてきた。彼らは成長を続けているのだ。
振り返って日本はどうであろう。日本の政治はそのようにダイナミックなものになっているだろうか。投票率の低下は国民の政治意識の低下を一義的に意味するわけではなく、それは政治の面白さ、ダイナミズムが失われているという結果に他ならない。政治こそわれわれが社会で生きるうえで最も重要で面白くもなりえるものなのに。
わたしはバラック・オバマをすべての転機のきっかけだと予想した。超党派の姿勢はアメリカで実を結びつつある。アメリカの政治のレベルは数段高められた。そしてそれはアメリカにとどまらず、世界中のあらゆる国のあらゆる人々に影響を与えることになる。新しい政治家の卵、新しい民衆を世界中に生み出しつつある。
世界は変わりつつある。世界は成長しつつある。それは人間というものは成長を志向するものであることによるし、大きな困難や挑戦を目の前にして一致団結してそれを克服するという生来の特質によるものであるし、知性を身につけ、歴史から学び、理論と方策を構築しうる人類というものがもつその理由によるものなのだ。
そして、個々のトピック。
・直接選挙の必要性
・公職選挙法の改正
・選挙制度の改正
・公務員制度の改正
・憲法改正の可能性
・そして種々の改革
■直接選挙の必要性
アメリカの大統領は直接選挙によって選ばれる(厳密には間接選挙だが、この際それはどうでもよい)。彼らは自分で考え、そして投票する。ヒエラルキーの統治システムが存在しうる限り、その首長が持つ権限は高められ、より重要なものとなっていくが、その者を自らの手で選ぶという責任と権利。これこそが今の日本に最も必要なものだとわたしは考える。
■公職選挙法の改正
わたしはYouTubeで様々な動画がアップされるのを、候補者たちが様々な形で選挙戦を戦うのを見た。人に情報が行き渡らずに人が最大に合理的な判断を下すということがあろうか。日本においてはネットの活用は限定され、選挙カーはわたしの安眠を妨げ、健全な議論を生み出しはしない。
■選挙制度の改正
二院制を廃止するのは一つの手だ。日本の政治家を本当の意味での政策実施集団にしなければならない。日本の政治家はアメリカの政治家に学ばなければならない。経済学者などのブレーンの活用の仕方を集団的に学ばなければならない。官僚との位置関係を見直し、新しい変化の波に機敏に対応できるようにしなければならない。
■公務員制度の改正
公務員がこれほど批判される時代も珍しいであろう。ただし国民の税金で成り立っている以上、それは不可避であると考えることもできるだろう。わたしは何か抜本的な改革がなされなければならないと考える。わたしの限られた知識と経験ではそれを導き出すのは今は不可能だが、それは賃金の抑制と公僕意識の高まりによってなされるだろう。
■憲法改正の可能性
第9条が国民の間で盛んに議論されなければならないだろう。憲法を守るべきだという意見と憲法は柔軟に変えうるものだという意見が真正面からぶつかるだろう。そこで集団的な合意が形成され、われわれの国家は進むだろう。憲法はわれわれを助け、導くものであることを。憲法はわれわれを規定するものではなく、われわれが規定するものだということを。
■そして種々の改革
素晴らしい政治家だった小泉氏は去ってしまった。しかし当然われわれには改革をしていかなければならないことが山積している。経済問題、北朝鮮問題、地球温暖化対策、農業改革、規制緩和、雇用問題、代替エネルギー対策、税制改革、財政赤字問題、年金問題、少子化対策、成長戦略。しかしわたしは10年に以内に訪れるだろうと予測する政治革命にて、根本的な対策が取られるだろうことを期待している。
世界はうねり、もがいてきた。冬がいつまでも続いたことは無く、世界は春の訪れを自らの力で掴んできた。