メーテルリンクの『青い鳥』を以前読んだことがあるが、わたしは今回この本について何かを発言せざるを得ない。筋自体は実に単純な話で、幼い兄妹チルチルとミチルが幸せの青い鳥を探しに旅に出て、その長い旅路の後、隣の家でそれを発見するという「実は近くにある」という話である(と理解しているが違っていないことを祈る。Amazonの書評を見たらいろいろと書いてある)。
わたしは実は同じような心持ちだったのだ。何もかも捨てて、一人遠くの世界へ夢を求めて、大きな成功と失敗があり、しかしいずれはまた戻ってきて、そこで何かを見つけるのだろうと。それは30代の後半か、もしかしたら50、60になるのかもしれないと。チルチルとミチルがそうであったように、それを予期しつつも、旅に出ざるを得ないと。その為の旅だと。
ここ数日の様々な邂逅により、わたしはチルチルとミチルが隣の家の少女の肩の上に止まっていた青い鳥を見つけたときの驚きと同じような驚きを感じたのだった。時空が前後し、わたしは確かにそこに見つけた。わたしの青い鳥だ。まったくの前触れもなく、遠いアメリカを旅することもなく、大きな絶望と挫折を味わうこともなく、わたしは見つけ得たのであった。
間違いない。わたしは見つけた。
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