この本は題名だけ見てもこれが言語学の本だとは思われないし、実際、これは言語学の本ではない。では言語学の勉強をしようとしていたわたしがなぜこの本を買ったかというと、鈴木孝夫氏の論述から感じられる「何か得体の知れないもの」への答えを探し出すためであったように思う。
これは2006年に刊行されたので彼の最新作ということになるだろうと思うが、ここに何か総決算的なものが詰まっているとわたしは予想していたのだ。わたしは既に英語学習において既に明確な新しい指針を前4冊の中から見出していたが、その「何か得体の知れないもの」を探し出す必要性に迫られていたのだ。
そしてついに先週からこの本を読み始め、今回のブログを書くに至った重大な心的事件がわたしの胸の中で起こったのだ。ただわたしははっきり言おう。わたしのこの心的事件はこの本によってのみもたらされたものではなく、それは単なる触媒として、または蛇口として、30代最大級の大事件をわたしにもたらしたのだった。
・第1章「素晴らしいものは、海の向こうからやってくる」-彼の言うところによると日本ほど他の国を礼賛する国はない。そして欧米人と日本人では根本的に思考形態が異なっている部分がある。彼はもともと言語学者だったが、日本と欧米の比較をしているうちにこの重大な事実に気づき、その論説を発展させたのだった。
・第2章「外国の醜いところが全く見えない!?」-アパルトヘイトがなぜ生まれたのか。奴隷制度とはどういったものだったのか。パレスチナ問題とは一体どのような問題なのか。なぜ「陪審員制」が日本に定着しないのか。このような話が流れるように解説され、今までも同じような話を誰かが話しているのを聞いたことがあるような気がするが、それとは異なるレベルでわたしに認識されたのだった。
・第3章「魚介か家畜か」-この章では動物性食料源の違いに由来する世界観の相違について言及する。キリスト教がなぜ日本で普及しないか。魚介文化と家畜文化の決定的な違いとは何か(それは彼は相手(対象)を支配しようとする「意思」の有無などと言う)。生体加工や罵り言葉について。そしてかつて、日本人は動物と人間をどんな関係でとらえていたのか。そして輪廻転生、宗教の違いについて。
・第4章「外国は、「話せば分かるか?」-世界は有史以来戦争や争いの繰り返しの歴史であったが、日本はそうではなかった。大航海時代の本質を見抜きなさい。そしてフィクション文化とファクト文化の違いについて(イスラエルはフィクション、日本はファクト。だからその言動に違いが出る)。
・第5章「部品交換型文明の光と影」-部品交換型文明とは日本の文化の性質の1つを表す彼が命名した言葉で、日本が過去外国のいい部分を部品を交換するように部分的に取り入れてきたことを指す。例えば古くは中国文化であり、最近であればイギリス・アメリカなどである。そして彼はこの性質は光と影を持ち、光は明治維新に代表されるように変化を迅速にこなせること、そして影は自国を卑下し、諸外国を必要以上に礼賛する傾向が強くなってしまうこと。
・第6章「日本人の自信回復のために」-歴史を知ること。特に大東亜戦争がなぜ起こったか、それをよく知りなさい。
・第7章「「地救原理」と日本の生き残り戦略」-世界第二位のGDPを誇る経済力を持ち、教育が非常に高い一億三千万の国民が、二十一世紀の文明のあり方をどう考えるかで、地球の相貌と未来が大きく変わるのだっということを認識しなければなりません。彼はそう言う。特に環境問題に対して日本が果たすことができる役割は甚大。そういうことだ。
わたしはこの本で明確に知ったわけだった。わたしは日本人だと。
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