ニューヨークでは、わたしの世界デビュー戦という色眼鏡もあったかもしれないけど、全体的に乱暴な感を抱かざるを得なかった。地下鉄の駅でアフリカン・アメリカンなおじさんに怒鳴られるは、夜のダウンタウンは少し恐怖を感じるは、人の流れと車の流れが乱暴な感じがした。
ロンドンは違った。この前の英会話のときにアメリカ人である先生から"Is the people nicer than New York?"(すみません文法間違ってると思う)みたいなことを聞かれて、実に言いにくかったんだけど、そして適切なフォローの言葉が英語で見つからなくて情けなかったんだけど、"Yes(, they are)."と答えた。
ロンドンでは信号機なしの横断歩道の前に立つと、車は必ず止まってくれた(主にタクシーだったと思う)。歩きタバコする人もいたけれど、人の流れは何らかのヨーロピアンな優雅さを持っていた。人は大抵親切で、1泊目のホテルのレセプション係の人のようなぶっきらぼうな態度をとる人もいるにはいたけれど、ヒースローで道に迷っているときに声をかけてきてくれた人のような人が多かった。
ニューヨークとロンドンは観光都市であることに強く留意しなければならない。観光客は大抵おだやかで、親切だ。しかし観光客はその土地の人間ではないし、その国の民族性を明らかにしてくれる存在ではない。ただ、ニューヨークには比較的アメリカ人が、ロンドンには比較的ヨーロッパ人が集まることは自明であり、わたしの何らかの文化比較論に資したことは間違いない。
まだおぼろげだ。まだアメリカの正体とヨーロッパの真実を掴んだわけではない。わたしは地球儀上に大きな3点を書き記したわけだけれども、世界への深い認識を得るには3点からなる視察の図形ではまだ足りず、これから中国やインドなどにおいて更なる点を刻み込んでいかなければならない。そして忘れてはならないのは灯台の下だ。我が母国である日本についてもより成熟した目で見つめていかなければならないだろう。
以上
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