Tuesday, April 25, 2006

blog - 30にして立ち、40にして惑わず

塩野七生が素晴らしいことを言った。「三十にして立ち、四十にして惑わず」は『論語』の孔子の言葉だが、わたしの敬愛するこの偉大な女性作家は『男たちへ』というエッセー集の中で、この言葉に対しての彼女なりの素晴らしい慧眼を発揮した衝撃の文章を書いた。

昨日、床につき、眠けまなこでこの本を読んでいたわたしは、これについて言及している「不幸な男(その一~三)」を読むにあたって、目は爛々と冴え、様々な観念が無限に広がり、どうにも眠れなくなってしまった。頭にハンマーを食らったような衝撃だった。ベッドの中で、背筋が自然に伸びた。

要はこういう話である。40代になっても迷っている男は不幸である。その不幸は顔に出る。たたずまいに出る。30代は、10代、20代で蓄積したものを糧に何か「立つべき」である。そこでは迷って結構。しかし、40代で迷っているのは古人も言っているようにいけないことなのだ。不幸なことなのだ。それは様々な考察のもと、明らかなことである。

こういうような感じなんだけど、実に納得がいくというか、身につまされるというか、40代をどのように迎えるかについて厳粛とさせられ、実に考えさせられたのである。わたしはこの言葉と、塩野七生さんのこのエッセーを決して忘れることができないだろう。決して忘れてはならないだろう。──詳細はこの本を読んで欲しいが、特に30代の男性に読んで欲しいが、このエッセーの最後はこう締めくくられる。


「神さまに抵抗を感ずる人も、こう言えば賛成してくれるだろう。人は、不幸な人には同情はしても、愛し、協力を惜しまないのは、幸運に恵まれた人に対してである、ということには。」


PS
塩野七生はすごい人である。ちなみに、ハンドバッグが女性にとって命みたいなものであることもこの本で知った。すごい女性だ。

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